陳列に使う箱を車に載せるのを忘れていたことに、風呂に入ってから気づいた

 永青文庫で春画展が開催されている。関連して週刊誌が春画を掲載し、警察に注意を受けた。春画を西洋のヌード絵画と同一視した評論を見かけるが、春画は裸体表現ではなく、性行為そのものを描いたものだ。
 春画が「嫌悪感を催す」という意味で猥褻かどうかはわからない。だが、性的な(エロい、エッチな、イヤらしい、恥ずかしい)表現であることは間違いない。芸術であることと性的であることは両立する。
 「猥褻」には二つの意味がある。「健全な社会風俗に反する方法や態度で性に関する表現をすること」といういわば刑法的な意味と、単に「みだらで、いやらしい」という日常的な意味だ。
 何を「みだら」と感じるかは受け手の構えも関係する。大勢の人がいる展覧会で見るのと、個室で恋人と二人で見るのとでは、同じ春画でも、感じ方が全く違うはずだ。
 もともと春画はセックスの知識を広めたり気分を高めたりするために作られたものだ。我われが春画をエロティックに見られなくなっているとすれば、現代人の多くが近世日本の性的感性を失ってしまったということである。
 春画を「猥褻ではない」と言うことで、春画のエロティック・アートとしての面を否定してしまうなら、春画が本来持っている牙を矯めてしまうことになるだろう。
 本日の出張買取は3件。宅配買取7箱を開けてから、店長と二人で出発。いつも原則にしている、近くから遠くへ、量の少ないお宅から多いお宅へというルールを破ったコースで回ったため、調子がくるった。最初のお宅は建築の本、二番目は映画やサブカルチャーで、最後は焼き物の本など、あわせて千冊弱。
いま、神田では青空古本まつりが開催されている。よみた屋も息子一号のプロディースで参加している。2日目が終了して、在庫が足りなくなりそうなので、明日の開店前に持ち込む補充を車に積み込んで本日の仕事は終了。
の、予定だったが、陳列に使う箱を車に載せるのを忘れていたことに、風呂に入ってから気づいた。パジャマに上着を引っかけて取りに行く。