古くてきれいな本があれば、それはとてもありがたい

きのうの出張買取は2件だったけれど、片方は法律の本などで、あまりに状態が悪すぎたので買取対象外とさせていただいた。
時間が経ってだんだんと紙が変色するのは当然だからかまわない。乱暴に読んで本が傷んでいるのも仕方がない。書込や蔵書印も、買取価格は下がるけれど扱うのが不可能なわけではない。しかし、カビたもの、虫や動物の糞尿などが付着したもの、火事で煤けたものなどは、再びお客さんに売ることができないので引き取りも不可能だ。
よく「古い本があるのだけれど、買い取れるか?」と言われる。古本屋だから、古いものはありがたい。僕らは世代を超えたものを想像するが、古さは主観的だから、10年前の本でも人によっては古いと感じるかもしれない。だから、何年ぐらい前のものですかとか、お客様の本ですかそれともお父様かお祖父様の本でしょうかなどと質問してみる。
僕らが買いたいのは「お祖父さんの本」だが、もちろん新しい本にもよいものがたくさんあるので、古くないからといってがっかりすることはない。しかし、古くてきれいな本があれば、それはとてもありがたい。年季が入っているのに美しく見える本は珍しい。
たまに、汚れたり傷んだりしていることを古いと表現する人がいる。それは古いではなくボロいだ。古着、古本などのフルには、時間が経過しているというよりは、そちらのニュアンスがあるようだ。困ったことだ。
本日は「日本の古本屋会議」。懸案を整理する方法を同意できて、やっといくらか前向きの話しができるようになる下地を作れるかな。