日々の生活に役立つ本屋でありたい

催事も終わったので、秋にむけてお店の本の品揃えの見直しに着手。
まずは、園芸や登山などの趣味の本は総入れ替えにする。ぼくの虎の子の古いオーディオ雑誌も容赦なしである。
ガラスケースを移動して美術書の棚を2面拡張。西武百貨店にも持って行ったが、大型美術書はまだまだ在庫が大量にある。江戸・落語・東京コーナーも大幅パワーアップ。こちらも在庫がたくさんある。
さらに同時代史の棚を拡張して、沖縄の本小特集を展開。
神話・伝説のコーナーを文学から、宗教の棚に移動して、文芸書の拡大に備える。
このひと月ほど、店売りもネット販売も絶不調だった。買取も、件数はあるのだが、何しろ全集ものばかり多い。ついには全集を引き受けてもいいけれど、他の本も同じ分量処分してください、とお願いすることにした。
古書市場でもだんだん本が高くなってくる季節である。気持ちを新たにして、買取に販売にがんばるぞ。
本日の宅買いは、しかし一件のみ。杉山登志「CMにチャンネルを合わせた日」、センダックの画集、その他。やはりここでも文学全集あり。しかし、初めから不揃だったので、文庫で絶版になっていそうなところだけ抜かしてもらう。
夕方から東京古書組合武蔵野班の「納涼班会」。ホテルで食事をしながら、古書業界や組合員の情報を交換する。しかし、今度も来たのは大先輩達とその息子さん娘さんのみ。店主では44歳の僕が一番若い。
車がなかった時代の本の運搬手段、セドリに行くと業者割引をするのがイヤで奥に引っ込んでしまう某店主のことなど、貴重な話が聞けたのだが、若い世代に伝統も伝説も伝わっていかないのが惜しい。
今は雑貨店やセレクトショップをやるような気持ちで本屋をやっている若い人も多いと思う。しかし、情報の主食としての本には生活必需品の面もあるのだ。いたずらにグルメな本に走ることなく、日々の生活に役立つ、良い本がきちんと安い、そんな本屋でありたい。