フィルハーモニア・カルテット・ベルリンのコンサートを聴きに行った

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フィルハーモニア・カルテット・ベルリンのコンサートを聴きに行った。
プログラムはメンデルスゾーン、ウェーベルン、シューベルトのロザムンデ。
4人とも非常にリラックスした感じでコンサートは始まった。どんなに速いパッセージでも、全くらくらくと演奏して、力みの入った音楽とは対極である。唯一ひげのないヴィオラだけが、少し神経質そうだった。
お客さんは相変わらず、近所の熟年を中心とした顔ぶれで、しばらくは咳が鳴り止まず、ピアニシモになる楽章の変わり目が台無しになったりした。まあしょうがないね、とヴィオラのと第二ヴァイオリンが顔を見合わせたりしていたが、しだいにみんな引き込まれるようだった。
ウェーベルンではセリー主義の音楽が、聴衆の度肝を抜いた。楽器の音が大変に美しかったので、メロディーもハーモニーを聞き取ることのできない無調の音楽が「美」として感じられたのは、想像と違った。
休憩時間には持参のサンドイッチとワインである。ここではコーヒーの販売しかないので、ワインは必携だ。ピクニックの気分である。
ロザムンデでは完全に聴衆はノリノリで、PQBの奏でる音楽に身をゆだねている感じだった。とにかく音がきれいだ。特に第一ヴァイオリンのシュタープラヴァはすばらしくて、終了後のロビーでは「ヴァイオリンの音があんなに美しいとは知らなかった」という感嘆の声があちこちから聞こえてきた。
ぼくは前から2番目の列の真ん中で聴いたのだが、すぐそばで演奏している彼らの音が、それぞれの音として聞こえず、まるでひとつの楽器のように溶け合っているのが不思議だった。今出ている音が、誰の音なのかわからないのだ。会場で買ったCDをうちで聴くと、各楽器の音がばらばらになってそれぞれ別に聴くことができたのだが。
鳴り止まない拍手に、なぜかチェロがガッツポーズで応えていた。みんななんだかニコニコしていて、楽しそうである。シュタープラヴァがアンコール曲を、
「ハイドンのむにゃむにゃ」(曲名聞き取れず、騎士という曲だったらしい)
と、叫ぶと会場の一部からウォーというような歓声が起こった。
最後は、お決まりのサイン会だ。CDの売り上げを伸ばすためにやっているのだと思うが、パンフレットにだってサインしないということはない。いつもならば人が少ないのが不思議である。