国と地方の借金をあわせて・・・とはもう言えない
財政破綻した夕張市の職員のうち半分ほどが退職するという。ニュースを見ていて思った。
自治体の借金と国の借金は本質的に違う。
国の借金というのは、つまり日本国政府の借金のことで、国民の借金ではない。国民は郵便貯金したり、国債を買ったりして、むしろ貸し手である。
国の借金のうち、外国から借りている分はほとんどないから、たとえば税金を上げるなどして、国債を償還したりしても、お金が国民から国民に移るだけで、国全体としてはどうということはない。財政破綻になると、国にお金を貸している豊かな人に被害がある、財政を立て直すために税金を増やしたり、行政サービスを減らしたりすれば、そのことで損をする人がいる。バランスをどうとるかという問題に過ぎない。
この点、貧しい国が開発銀行を通じた融資を受けたり、援助という借款を受けたりしている場合は、外国にお金を返さなければならないので、たいへんだ。利子を払うだけでも、外国にお金を吸い上げられるのである。借金をしたせいで、ますます貧しい国へと転落してゆく危険性がある。
自治体の借金もこれと似たようなものだ。夕張市は夕張市民からお金を借りていたわけではないので、財政が放漫になると、すべての市民が被害を受ける。市民のお金が、利子や何かとして市の外に出て行ってしまうのだ。
国と地方の借金をあわせて何百兆円というような話は、自治体の借金は最期には必ず国が肩代わりする、という前提があっての話だ。今回のように国が肩代わりせずに破綻するに任せるのならば、親会社が子会社を見放して倒産させるようなもので、連結決算からはずさなければならない。そういう宣言なのだろう。
多くの地方にとって恐怖の時代の始まりである。しかし、銀行は救うのに、自治体は倒産させる。本当にそれでいいのか。