ぎっくり腰になった

ぎっくり腰になった。
たいてい年に一二度、腰痛に見舞われる。今回は食卓の椅子から立ち上がろうとしたときに、腰の筋を違えてしまった。
ふだんから腰の調子がよくないので、注意はしている。たとえば、固い床の上などに仰向けに寝ると背中がそる。その状態から、状態を起こそうとすると腰に負担がかかりすぎるので、必ず横を向いてから起き上がるようにしている。
なにより、鍛えておくのが一番いい。腹筋、背筋、スクワット、ストレッチなどの運動は欠かせない。そうやって調整していれば、「危ないな」という感触にも敏感になるし、悪くなりそうなときに修復することもできる。
今回は風邪を引いていたので、ここ2週間ぐらいほとんどトレーニングをしていなかった。こういうときに、ぎっくり腰はやってくるのだ。Kも僕の風邪をうつされて元気がない。そのことも僕の疲れを増していたのかもしれない。
すごく重い荷物を持ったときとかではなく、ちょっとした荷物を数多く運んで疲れたときとか、椅子に座ったまま下にあるものを拾おうとしたときとか、油断しているときにピクンという感じで筋が違ってしまう。一種の捻挫なのだと思う。
痛みはそれほどでもないが、どうにも腰が伸びない。洗濯物を干そうとしたが、無理だった。本を運ぶこともできない。座っていれば、ふだんと変わらないのだが。
いつものスチール製の杖のおでましである。若いときは「おひけえなすって」というように腰を落としてひざに手を置いて耐えていたが、ある日玄関をふと見たらスチール製の杖がある。死んだ親父が最期に使っていたものだ。これはちょうどいいというので、腰を痛めるたびに使っている。
長さが調整できるから、誰の手にもフィットする。僕が使い始めてからも七、八年になるが、ぜんぜん痛んでこないし、また、風合がますわけでもない。まことに、合理的なだけの代物である。