E-550試聴記

アキュフェーズE-550も明日には返さなければならない。
今日は午前中仕事をサボって、音楽を聴くことにした。いつもは夜と朝しか聴けないので、小音量で我慢していたが、昼間だから多少大きな音で鳴らしても大丈夫だろう。
まずは、ストラビンスキー「春の祭典」。ワレリー・ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団ゴールドディスク。ボリュームを4の位置にする。(夜は2と3の間)。
冒頭、曲の開始直後に物を落としたような音と咳払いが聞こえてくる。ライブ録音とは銘打ってないから、楽団員の発する音か。大太鼓の音がとにかくすごい。たたくだびに違う音で聞こえてくるのは、何種類か楽器を用意しているのか。(そんなことはないと思うが)。管楽器は空気を切り裂くようだが、キンキンした響きはない。音楽は非常に鮮明で興奮を呼ぶ録音だが、結構いろんなノイズもあることがわかった。
カサンドラ・ウィルソン「NEW MOON DOUGHTER」。最初のストレンジ・フルーツは僕にはベースの低音がきつすぎるのだが、はたして、E-550で聴いても、鼓膜を直接押されているような圧迫感という意味では、やはりきつすぎ。このCDは他の曲も、クレモナでかけるには低音が多すぎるようだ。(もちろん、広い部屋で聞けばちょうどいいと思います)。ただし、強い低音がぼやけたりすることはまったくない。トーンコントロールで減らしてやると、非常にすっきりした感じになった。
「ノラ・ジョーンズ」では低音を少し削り、さらに高音を足してやった。
ボーカルはまるで「そこにいるように」聞こえる。やはりこのスピーカーの本領はオーケストラより女性ボーカルか。クラシックではまったく棘がない音に聞こえていたが、ポップスでは意外に楽器がどぎつい感じに聞こえる。鋭い角がないために、かえって音が重く響くのか。
バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」、クイケン新録音。
残響の非常に多い録音である。今まではそれが気になって、元の音がよく聞こえないじゃないかと思っていたのだが、このアンプにして驚いた。もちろん、残響がなくなるわけはない。しかし、本来の音と残響がしっかり分離して、直接音がはっきり聞こえる。はじめてこのCDの録音意図がわかった。
このCDを手にしたばかりのときは、非常に神経質な演奏に思えて、こちらも緊張しないと聞けないような気がしていた。それで、聴くたびに非常に疲れたものだ。
しかし、この夏たまたまとある居酒屋でクイケンその人を見かけたので、握手してもらってサインをいただいた。クイケンが居酒屋にくること自体意外だったが、本人はいたって気さくな人で、言葉は通じなかったが、分厚い柔らかな手で僕の手を握り返してくれた。
それ以来、リラックスしてこの曲を聴くことができるようになったというのは、まあこの際あまり関係ない話でした。
あまり時間がなくなってきたので、ラトル&ウィーンフィルの「合唱」が最後。
非常に録音レベルが低いので、ミニコンポで聴いている人は欲求不満になるだろう。さすがに今回の組み合わせではそういった不都合はない。「音が非常に濁っている」といっている人がいたが、そんな風には感じない。ただ、ライブなのに人のいる気配があまりないが、マイクのすぐ近くで動く人がたまにいる。
全体に音は軽め。ディンパになども近くでぽんぽんたたいているみたいだ。時間がないので、第一楽章の後とばして第4楽章。合唱は言われるほどすごくない。それより、さ、最後のピッコロは何なんだ。