韓国古書事情
今回の韓国出張の目的は三つある。一つは、韓国における日本古書事情の視察と買い付け。そして、向こうの古書店と渡りを付けること。
最近は台湾や韓国からの注文をよく受けるようになった。従来は海外向けの取引はしていなかったのだが、だんだんそうも言っていられなくなるようだ。とりあえず、韓国では日本の本がどんな風に売られているのかを調査したい。
結論から言えば、韓国には日本の本が大量にある。日本で英語の本を探すより容易い。ただし、相場はしっかりしていて、ちゃんとした本屋では日本とほぼ同じ値段で売られている。
現代の韓国では漢字はあまり使わないが、少し古い専門書などは日本の漢字かな交じりと同じような雰囲気で、ハングル漢字交じりの字面だ。特に題名や著者名は漢字が多いので、本棚で背表紙を眺めていると日本の本と違和感がない。専門古書店では分野別に本を置いているわけだが、日本の本だけ取り分けてはいず、近代史の本は近代史の本、言語学の本は言語学の本というようにハングルの本と雑ぜておいてある。
そういう本屋では、日本語の本もわかって置いているので、当然でたらめな値付けはしていないわけだ。
したがって、見つけたから即買いかというとそうでもないわけだ。ただし、むこうでは値段は交渉次第なので、見込みがないわけではない。
しかし、穴場もある。今回はソウルしか回らないが、市内にもかなり穴場が発見できたので、郊外に出ればもっとあるかも知れない。どんな穴場かということは具体的には書かないが、日本と同じようなものだ。
今回は買い付けと言うよりも、下見のつもりだったから、運搬手段を考えていなかった。ちゃんとした本屋では日本向けにも発送してくれたかも知れないが、穴場的なところでは自分で持ち帰るしかないようだ。後から考えれば、ホテルまで運んで発送という手もあったかも知れないが、持帰り可能な分だけ買ってきた。