デートでもなかなか聞けない言葉を、仕事で聞いた

月曜日に、新しく立て直した歌舞伎座に初めて行ってきた。玉三郎と海老蔵の七月である。夜の部の出し物は悪太郎、修善寺物語、天守物語といずれも近代の作である。私の母親と女房殿と三人で行ったのだが、江戸ものでないのが母親には不満だったようだ。私はと言うと、玉三郎だから当然舞踊を期待したのだが、踊らない役であったのが残念。それでも、香川照彦の市川中車が様式の中にもリアリズムを出すのがおもしろかった。歌舞伎の登場人物はいずれも狂気をはらんでいると思われるが、中車の演じた夜叉王の狂気は抜きんでていて、狂気と正気の対比を描く近代演劇を見ているような気になった。
さかのぼって金曜日は古書通信社主催の古書セミナーに参加した。今回は秦川堂書店永森さんによる古地図に関する講義だ。珍しく女房殿も聞きたいというので、明古の経営員として毎回出席している息子一号とあわせて家族三人が顔を合わせることになった。講義の内容はここにかけないぐらい具体的ですばらしかった。しかしそれよりも女房殿が講師の視線を引き寄せて、いつの間にか中心的な生徒になっているのに驚いた。
さらにさかのぼって、前日の木曜日には「日本の古本屋」事業部の総会があり、来期の部長が決まった。まだ秘密(?)だが、私は今季限りで部長を退任できることになった。健康不安があるので、まあ順当なところだ。総会のあとには、関係各部門の契約先などを誘ってレセプションを行った。これには、普段あまり会わない関係先同士に知り合ってもらって、技術的な点については直接やりとりできるようにしておく目的もある。しかし、それよりこの日はお店の改装工事第二期の後半をやっていた。店長から送られてくる、工事の進捗を示す写真に「よろしく」と返事をするばかりである。何もこんな日にと思うが、先方の都合のよい日はここしかなかったのだ。
さて、土曜には青弓社から「古本屋になろう!」の再校ゲラが届いた。しかし、しばらく店のことがおろそかになっていたし、改装の後始末もある。全く手を付けられなかった。日曜日は朝から宅買い。途中で大雨が降ってきたので、中止して水曜に回した。火曜日に、一気に校正を終わらせてしまおうと思ったのだが、想像していたよりも誤字脱字が多いし、てにをはが変なところもある。ざっと読んでホイ! というわけには行かないようだ。
本日水曜日は店長と二人で宅買い。水曜日に行けなかったところも回ったので4軒になった。しかも、2軒目のお宅は、買い取った不揃の全集の一部があとから出てきたということで、もう一度行った。午前中から出発したが、最後は7時を過ぎてしまった。だが、「今日は二人で買取できて、とても楽しかった」という店長の一言に発奮して、店に降ろすなり本を仕分けした。ちょっとでも女性にほめられると、男は興奮して働いてしまうのだ。帰宅は閉店後の10時。帰りにコンビニエンスストアで買った「ラ王」を食し、ノンアルコールビールを飲む。
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