改装中日

ベッドの中で暴れて指を突いた足を引きずって遅刻気味に出勤。息子一号の主導ですでに仕事の準備は整っている。まずはすでに設置されていた棚に少しずつ本を詰め込んでいくこと。店長は昼からなので、本日の配役はOB男子二人と新人MT子、きのうはいなかった新人SN子、息子一号、私に、業者3人の9人である。みんな即売会の経験がないので、一冊一冊丁寧に選んで差し込もうとする。そうではなく、まず大雑把に棚の前に本を置いて、配列にこだわるのは後でにしよう。
よみた屋隊が本を収めているうちに、職人さんたちがいらない棚を解体し、また組み立てていく。一度すっきり片付けて、何もないところに新品の棚を作るなら簡単だろうけれど、部分的に壊しては作っていくアメーバーの移動のような仕事はさぞやりにくかろうと思う。しかも、使う棚はほとんど中古である。年月の間に変形してもいるものを扱うには熟練の技術が必要だ。
作成してもらっていた木製の棚が昼前に届く。こだわったのは棚の赤い色だ。それだけ見ると多少違和感があるが、本を入れると俄然、古書を美しく際立たせる。狙ったとおりだ。
昼食は魚河岸日本一で作ってもらった寿司弁当。職人さんは足りないかもしれないので、お稲荷さんを付けた。
午後は木製棚に文庫を詰め込む。奥から始めた解体も、夕方には全て終了、入り口付近の数個以外全てに及んだ。100以上の棚番号が付けられた板や柱が、今や鉄くずとなって積み上げられている。思えばこの物品棚で、ずいぶん多くの本を売ってきたものだ。僕が修行した高原書店では、ずっと倉庫用のこの棚を使っていた。いまでも変わりない。本を差別しないそのやり方を、僕は守り通すことができずに、だんだんと棚を変えてきたのだ。
夕食は、息子一号、店長と三人で近所にできたレバー料理専門店「ボディー・ブロー」へ。初めて入ったが、頼んだ料理はみな美味しかった。接客も丁寧。ただ、料理が特殊なので、地元の人が普段の夕食にというのは難しいかも。酔っ払って、オーナーらしき人物に吉祥寺での飲食店経営について一席ぶってしまった。講釈聞き賃には安い料金を払って帰宅。
家では居間の周りを取り巻くようにぶら下がった9枚の白シャツが出迎えた。夕べ女房殿が洗濯機を回したままで寝てしまったのを、深夜に僕が干したものだ。仕事中は忘れていた、足の突き指がまた痛み出す。