漢籍が一間半の棚

漢籍が一間半の棚に床から天井まであるというので、長く東京古典会で経営委員をしていたH氏を伴って、お客様宅に朝から出向く。
行ってみれば、言に違わず床から天井まで、通常よくあるように一まとまりごとに隙間を空けて積んであるのではなく、ほとんど詰め込むようにして押し込んである。四六判の洋装本なら、千冊弱だが、紐で綴じてある和本、唐本のたぐいばかりなので、すべて地をこちらにして積んである。奥行きの分だけ体積が多い。
古いものは明版とおぼしきものもあり、到底小生の査定しうるところではないが為にH氏を伴うも、、市価数十万から百万円の稀覯本を、氏とて初見で即座に鑑定しがたく、おそらく明版でしょうと言うにとどまる。
民版とは明の時代の刷りということなれば、此邦で言うところの江戸時代初期までのもの、四五百年は遡ろうというもの。それにしてはきれいですね、いやしかし、古いものほどきれいで今作ったような感じがすることもあります。
結局は、全体のうち何点かを鑑定して、その程度の値段ですか、いやいや、H氏はそれなりの値段を出すのだが、お客様は落胆されたよう。小生は古書には売価の下に市場での価格があり、その下に仕入れ価格があるという説明。市場は卸売りに相当し、買取は卸売り以前の製造原価に相当するものだから、売価とは相当の開きがあるとてもやむなし、という説明。1年2年かけて売って行くんですよ。
処分については改めて、ということになった。すかいらーく系ファミレス、グラッチェ・ガーデンで日替わりランチを食べて帰店。