古本屋の品揃えは美術展のキュレーションと似ている
古本屋の品揃えは美術展のキュレーションと似ている。古今の名作を集め尽くすことはできないから、必ずしも大名画でないものに新たな価値を見いだしながら展覧会を構成する。同じように古本屋も、名作ばかりを並べることはできない。名作は希少価値がないから古書店で置くまでもないのだ。また、稀覯書は当然ながら手に入らない。そこそこよい本でありながら、比較的人に知られていないような、適度に希少価値がありつつ、また一部に熱狂的支持者がいるような本を、独自の視点で関連づけて、個々の本だけではなく本棚全体に意味があるように並べていく。美術展覧会は図録になって残るが、「印象派展」といったような真っ当でありきたりのものより、「ウィーン世紀末展」のようなキュレーターの意図がはっきりしたものの方が後々になっても面白い。古本屋の本棚は、砂絵のように時間とともに消えながら変化するから、お客さんの記憶の中だけに生きる作品かもしれない。
本日はデータベースへの本の状態の記載方法を巡って、スタッフと討論した。私が、古書店(と古書店顧客)の慣習を話し、若いスタッフは新刊書読者の感覚を語る。現時点では「新刊で手に入るが代替品として安い中古本を買う」商品と、「古書として古書を買う」商品を区別して、売場と記載方法を分けるぐらいしかないが、将来的にはどう変化していくだろうか。
「GINZA」から「書店員ポスター」届く。スタッフにモデルになってもらい、twitterにポスターとのツーショット写真を投稿。
Amazonが買い取りサービスを始めたことが話題だ。大体当社の買い取り基準と同じぐらいの金額を提示している。ただし、新刊ベストセラーは負けている。一方、安めの本は送料だおれになるので、個別の評価としてはうちの方が高いようだ。しかし、実際の査定をよく見ると最高提示価格は「非常に良い」の場合で「良い」になると半分以下になることが多い。
そして、査定のページのURLを見て驚いた。何とtradeinとあるではないか。うちが数年前に開発した買い取り査定のためのシステムがTradeIN。下取りを意味する言葉だから驚くには当たらないとはいえ、スパイがいるのではないかと疑ってしまう一致だ。
ここのところ、お客さんはたくさん来てくれるが、売上は今ひとつだ。店長が棚づくりを頑張っているので、どうかもう少し買っていってもらいたい。本日は宅配買い取り1件しか査定できなかった。あすの出張買取は2件。店長が棚のアンカーなら、私は品揃えで頑張る。素材提供をするデータマンだ。