スランプ
先日、あたかもセレクト形古書店かのような棚づくりをしているお客さんから本を買った話をした。
しかし、その本を持ち帰って、店で値付けしてみると、思いのほか安い。お客様の家であったような輝きは失われているのだ。
たとえば。松岡正鋼の日本論はうれるが、その隣にある劇作家の日本文化の対談集は難しい。さらに外側の、民俗学者の歌垣に関する本は、内容はとてもおもしろいけれど、商品としてはどのように売ればいいのか。とても、難しい。
しかし、お客さんの家で魅力的な本が、仕事でやっている僕の本屋でつまらなくなっているとすれば、やはり僕ら自身が反省しなければならない。ぼくは、本屋を経営する新鮮な感覚を失っているのだ。
そこで、10年前にインスピレーションをうけた、古書店を改めて回ることにした。その、結果については秘密の知識を別にして、なるべくみなさんにお伝えしたいと思う。
以下次号