当店では数人の学生アルバイトを雇っております。当然、彼らは就活をするので、その話しも多少は聞いておりますが、店主も家人もほとんど会社員の経験がありませんので、内実はよくしりません。けれども、日本の採用がほぼ新卒に限っていることは常識ですし、若い学生さんがその新卒採用に必死になることは理解しております。

本日、昼過ぎに学生と思しき若い女性が、青ざめた様子で店に入って来られました。何でも、就職活動の面接に向かう途中で携帯が壊れてしまい、面接先の会社の場所がわからなくなったそうです。

気の毒なので、その会社を検索してみたところ、近くに社屋があるようなので、地図を印刷してお渡ししました。しかし、徒歩圏内とはいえ、彼女の予定した時間内に到着するのは無理です。要望に従って電話をお貸ししたところ、斡旋に関わった団体に断った上、相手先企業の担当者に遅れる旨を伝えて謝罪されているようでした。

彼女は電話のあと、簡単なお礼を述べてすぐ出て行かれたのですが、数時間後にお菓子を持って改めてお礼に来られました。最初は遠慮したのですが、見ればしっかりした包みです。当店を通り越して街中の店まで行ってわざわざ贈答用の洋菓子を買ってこられたようです。受け取らないのも、かえって申し訳ないようなので、素直にいただきました。

中味は店主の好きなバームクーヘンでしたが、独り占めせずスタッフ一同でおやつに食べました。遅刻した面接が果たしてうまくいったのか、うまくいったとして、それが彼女にとって本当に良いことなのかそれはわかりません。だから今回の会社でなくても、彼女の就職がうまく行きますようお祈りします。