お盆休みの出血サービスということにしておこう
本日は出張買い取りが1件。例年は初夏から買い取りの量が減ってくるものだが、今年は爆発状態がおさまらない。件数はそれほど多くないのだが、1回あたりが平均して1000冊を超えるような勢いだ。ただし、高額書が多いならうれしい悲鳴だが、車を満載にして運んで数千円から数万円程度だと、普通の悲鳴である。古本屋の買値だから、売るときには数倍になっているとは言え、時間と手間を掛けての売上だから、それでも厳しい。
売れ筋の本はどこへ行ってしまったのか。書物全体の値段が下がって、安い本が相対的に増えたように思えるだけか、それとも高い本は当店以外のどこかへ奪われているのか。前者もあるだろうけれども、後者が主なような気がする。誰かすごい業者がめぼしい本をみんな持って行ってしまっているのだとしたら、そいつはどんなやつだろうか。ぼくは、あらゆる本を誰よりも高く買うとは言わないけれど、ほとんどの本をそこそこの眼で見られると思う。江戸時代中期以前の本はのぞくとして、ここ250年ぐらいの国内の本なら8割は見当が付く。文芸書から理工書まで、どんなものでもまんべんなく評価できるのが総合古書店の強みだ。良い本をさらって行くすごい業者君は、一部の本だけ、たとえば新しい本だけとか文芸書だけとかそんな見方をしていないか、それが心配だ。
いわゆる業者ではないかもしれない、たとえばAmazonのマーケットプレイスに出品とか。それは、まさしく「新しい本に特化」だ。ちょっと古い本は、不得意どころかカタログにないので、そもそも出品することができない。そのために、マーケットプレイスで本を処分しようとしたお客さんは、古い本をダメなのだと思って捨ててしまうかもしれない。ぼくはそれが心配だ。
古い本は是非経験ある古書店に見せてください。
古本屋が見た後なら、残していった本は捨ててしまっても差し支えない。古本屋が価値がないと言った本は、本当に価値がない。古い本に少しでも価値を見いだして、欲しがる人を見つけるのが古本屋の仕事だ。それに、古書には業者の交換会があるから、古書の値段は店主の主観ではなく、古書業界の客観的な相場なのだ。
爆発的な買い取り量も、お盆休みに入って一息ついた。倉庫の前まであふれ出ていた本も、だんだんに削られつつある。外の百円均一は、普段出さないようなものでも、かなり甘く出している。そうしないと、どうにも本が棚に収まりきらないのだ。安売りしすぎると店内の本が売れなくなるので、本当は良くないのだが、お盆休みの出血サービスということにしておこう。