運転はMT。免許取得半年にして、初の首都高速である。
出張買取一件。文京区の駒込近辺。このあたりはお寺の密集地で、宅買い先もわりと大きなお寺。近所には当店所在地名の由来となった「吉祥寺」もある。期待した仏教書、思想書はあまりなくて、それでもヨガや料理の本を500冊ほど持ち帰る。全体は100冊以上あったが、めぼしい本は片付けた後らしく、一応は店に置けそうなものだけを引き取ることにした。
運転はMT。免許取得半年にして、初の首都高速である。行きは高井戸から中央環状を、帰りは古書会館からの帰りと同じ代官町入口を利用して4号新宿線を通った。「ドキドキしました」というMT以上に、こちらは緊張してドアの持ち手を腕が痛くなるほど握りしめる。「ハイいま車線変更」「100メートルで右側に出ます」と声をかける。私のサポートがよかったかどうかわからないけど、特に危ないこともなく帰り着いた。ホッ。
昼食は、お客様宅近くの讃岐うどん店で。20席程度の店なのに厨房に6人も人がいる。麺茹で係、トッピングを載せるカウンター係、オーダーと会計をするホール係、皿洗いなどの下働きのうち、麺茹でとカウンターがそれぞれ新人研修を受けていた。うどん茹では若い男性が店主らしき年配の男性に、カウンターは50代ぐらいの男性が20代の女性にレクチャーされていた。レシピを覚えて、手早くうどんを仕上げてゆくのは年配者にはなかなかむずかしそう。
夕方からは、息子一号と作戦会議。初首都高につきあって、ヘトヘトになっていたので帰りたかったが、こういう時間も必用。ガルディ珈琲と戎ビアホールをはしご。
息子一号に、目標にする人を作れ、どんな古本屋をやりたいのか将来像を想像しておけ、などと説教を垂れて、かえって自分の商売を反省する。もともと、高原書店に勤めて、それが自分に合っていたので、同じようなことを始めたのだった。本屋をやっていて、いちばん楽しいことは、たくさん本が買えること。お客様の家から何千冊もの本を持ち帰ると、とても興奮する。そして、たくさんの本に囲まれていること。何万冊もの本がある店の中にいるだけでしあわせ。
アマゾンには、本を倉庫に送りつけておくと在庫管理から受注・発送までやってくれるサービスがある。私も一時期やって結構売れていたけれど、本が手元にないとさっぱり面白くないのでやめてしまった。
二十年以上よみた屋を続けてきて、本の売り方はずいぶん変わったけれど、扱う品物は変わらないし、とにかく本の海におぼれていたいという気持ちはずっと同じだ。
さて、息子一号は20年後にどんな商売をしているだろうか。