トラブルが起きないことより、本が売れることが重要なのだ
買取の得意品目についてお客様から問い合わせを受けているようなので、途中から電話を替わる。聞けば、総合的な古書店に頼んだところ個別の査定に不安があり、分野ごとに専門店を探しているとのこと。全体量は数百冊で文庫などの読み物が多いけれど、専門的な美術書や、雑誌類があるとのこと。
古書組合に加入している古書店なら、総合的な古書店でも、よほど珍しい物でない限り古書として評価のあるものは見落とさずに買うであろうこと、古書店には市場のネットワークがあって相場が形成されているので知識の多寡や偏りはあるけれど、店主の好みなどで恣意的に価格設定しているわけではないこと、ネット上の価格は安い方は間違いないけれど、高い方は必ずしも当たっていないことなどをお話する。
古書店は一年二年という時をかけて本を売っていく商売である。高価でもなかなか売れない本より、そこそこの値段ですぐに売れる本を高く買う場合もある。大量の本を買い取るときは、全体で評価して、あとから売り方をいろいろと工夫して売価を設定する場合もある。読み手を捜して、そのお客様に本を手渡すのが古書店の仕事だから、雑に買い取っているように見えても、その本が世の中で最も生きるように計らうことに真剣だ。「買うときは素早く買い、売るときはじっくり売れ」という大先輩の格言もある。
全部片付けたいのなら総合古書店を利用するのが良いし、思い入れがある本を個別に価値のわかる人に届けたいならヤフオクなどを利用して自分で売ってみるのが一番高くなるという結論をお伝えして、少し長い電話を切った。
天下一品ラーメンをたべて、午後からは「日本の古本屋」会議。本日の事項として、EC部門のうちシステム関連をA氏が、コンテンツ関連をO氏が担当すること、今までO氏が兼務していた書誌マスタの統括をT氏に委譲する方向で考えることを確認。また、4月以降は当面ECサイトとして不足している部分、お客様が不満、不便に思っている部分の修正を優先することを確認。私としては、自社システムを利用している古書店会員が、整合的にZIZAIを使える仕組みを早く用意したいが、後回しになりそうだ。
いろいろとトラブル続きなので、システム会社から先週より更に偉い人がご挨拶にみえる。大企業の営業本部長だから、きっと数百数千の部下がいる方なのだろう。我われ事業部員はみな零細企業主なので、実はよくわからない。いつも百円玉で商売しているので、十万円だとビビるけれど十億円だともう何も感じなくなる。
せっかく上司の方が来ているので、「日本の古本屋」は商売のサイトなので、多少の問題があっても謝ってすますことができるけれど、お客様が来てくれなければどうにもならないことをお伝えした。役所のサイトと違って、トラブルが起きないことより実際に本が売れることが重要なのだ。その価値観を共有してほしい。
開発を伴うことがらと、文言や画像など設定や修正ですむことを分けてすすめてほしいという要望を出す。19時半解散。餃子店で夕食を食べながら反省会。