中央線支部の意見交換会
きのう古書組合中央線支部の意見交換会なるものに行ってきました。今期役員を中心とする6名のコメンテーターによる短い報告の後、参加者全員による座談会をするというイベントです。
“「組合・支部活動に何を求めるか、何ができるのか、高円寺市会との関係など」、できるだけ多くの参加者から意見を出して貰い討論をする。結論をまとめる必要はない。”
との事で集まったのは二十数名。現役員の他は、次期役員と目される人を除けば、一般支部員は数名でしょうか。ただし、西部会館での事業(交換会)を主催する高円寺市会からは参加者がありませんでした。どうも、あらかじめ役員と内輪で話し合ったようです。
事業と支部という問題に結論から言えば、事業のない支部運営はありえません。もともと事業によって人が集まり、人の集まりが支部や組合を作った。事業がなければ組合活動に参加する契機もない。したがって、事業を失った支部は解体に向かっていくしかないのです。
しかし、だからと言って支部があるから何か事業をやりましょうというのは無理です。利害が一致する人が集まり、事業を興す。それが継続的なものなら団体ができる。たまたま集まった人で何かを始めても、みんな思惑が違うからなかなか成功しません。
地理的区分けを基礎にする現支部構成は、商売のやり方が多様化している今の状況の中では事業主体になるのにむかないのです。特に、中央線支部の場合は非常に広い範囲(中野区杉並区と多摩全域)に広がっているので、高円寺が便利な支部員は一部だけです。
「事業」は何も交換会だけとは限りません。日本の古本屋だって、古書組合員の商売を助ける重要な事業だし、ルート便のような組合員の物流を支える運送も事業化できる。いまは梱包材程度の「共同購入」も事業として考えれば、もっと充実させられるかもしれない。直接は利益を生まない広報宣伝も、最終的には古書組合員のためになる事業として運営できるだろうし、もっと社会的な活動をしてもいいでしょう。
もちろん古書組合の中心は交換会ですが、その他にもさまざまな事業を興し、その主体として支部を作る。そのような支部再編が求められています。
しかし、支部の再編は今すぐにできることではありません。なら、組合行政に多くの組合員が興味を失っているいま、すぐにできることは何か。
支部の役割は事業と組合運営の単位となることです。組合の行政単位は、組合全体がいくつかの支部に分かれ、支部はいくつかの班にわかれる、というようになっています。組合が国だとしたら、支部長は都道府県知事、班長は市町村長です。
情報は理事会→支部長会→支部役員会→班会→組合員、というように流れます。しかし、実際には班会はあまり開かれないし、支部長会も形骸化している。実際には、本部(神田)で行われる交換会に多くの人が集まり、そこで情報交換できるから、形式的な会議など必要ないと考える人が多いのです。しかし、そういった所で、情報の受取はできても意見集約して組合運営に影響を与えることはできるでしょうか。一部の実力者には可能かもしれません。しかし、一般組合員の多数の声を届けるには、支部のような公式の行政単位で発言するのが効果的です。
班が上意下達の場ではなく、組合員の意見集約の場であれば、班会は開く意義があるというものです。しかし、若い組合員には「言っても何も変わらない」という無力感が蔓延しているようです。たしかに、班会のようなところで、新しいことを提案しても保守的な人がどこかで抵抗すれば、行政の組織を遡って理事長を動かすまでには至らないでしょう。
少数の意見は、連絡の間でノイズに紛れて消えてしまい安いのです。全体を動かすためには、初めからある程度大勢の意見としてまとめて発信する必要があります。
だから、やはり班は、地理的利害の一致する同士で組織されている事が必要です。商売の型で班や支部が組織分けされていれば、意見の集約もしやすいでしょう。
以上は私の感想ですが、組合の情報教育活動に関する浩仁堂さんの提案、広報イベントに関する三暁堂さんのアイデア、駱駝舎さんの組織における機関紙の重要性に関する指摘、など目を開かれる発言が多数ありました。今回の意見交換会は「第一回」とのことですから(司会により何度も強調されていました)、こんな自由な発言ができる場をまた持ちたいなと思いました。