T子は帰ってしまった、なぜなんだ
昨日の敗北から一夜明けて、今日は市場に出品するものがない。
いや、ないことはないのだが昨日の品物を買えていたらそれを神田で仕分けしようと無意識にせよ思っていたので、放心状態のわたしには手の中に準備された仕事がなかったのだ。
横を見ると店長の机の周りが騒がしい。一週間わたしが店を開けることが多かった。その間、仕入ればかりが多く売れ行きの悪い店で、防戦一方の戦いを強いられていた店長は、ほとんど本の山に埋もれるようになっていて、ノートパソコンを広げるスペースもない有様だ。これでは作業効率も悪いだろう。
われわれは話し合って決断した。
未整理の品物をとにかく市場に出してしまおうと。そして、決算が近くなり経理の仕事もこなさなければならない店長を、廃墟の瓦礫のようになった本の山から救い出そう。
一つところから仕入れたものでも、店である程度整理した品物でもない。たまたま、仕事が遅れて残ってしまった物の寄せ集めである。まとまった出品にできるかどうかはわからないが、とにかく車に詰め込んで神田へと出かけた。
例によってT子と一緒である。内に勤めるようになって、そろそろ一月になる。仕事上のミスはある程度あっても仕方がないこと、しかし、ミスをおそれて仕事をしないのはダメ、失敗を記録しておくこと。そろそろ、しっかりしないとアルバイトの人に示しがつかないぞ、というようなうるさい説教をたれながら神田へ着く。
昼飯は「カロリー焼き」。
今回の仕分け作業はそれほど多くないので、なるべくT子にやらせてみる。やらせてみれば、けっこうできるじゃないか。やはり、できるかと聞くのではなく、やれと言う方がいいと、改めて確信。
仕分けの初歩的な心得や、美しく見せるためのコツ、並べる場所、後で自分がわかりやすいための明細の書き方など、ちょっとしたことを教える。
7時頃に店に戻る。じゃあ、今日は近所の寿司飲み屋「魚吟」でなんか食べて帰るか。A店長代理とA男は喜んで(?)付いてくる。しかし、T子は帰ってしまった。なぜなんだ。
ビール一杯。「魔王」2杯。A男は「獺祭」。11時半帰宅。
今朝の体重56.7kg。