ワインを残すなんて!
ールデン・ウィークは忙しいから休めない! と子供たちには言ったが、日曜日だけはやはり休むことにした。軽くお茶漬けを食べて、吉祥寺の街を散歩……、とごまかしてKを連れだしタケオキクチでジャケットとシャツを2枚買ってもらう。
「このジャケットにあうシャツも欲しいんですが」
「こちらなど、青と白のストライプがとても爽やかで、お似合いですよ」
「でも、これじゃ『いいもの』みたいじゃないですか」
すると、横にいた別の女性店員がプッと吹きだした。
「いい者は、善いのだから、良いではないですか」
「いや。いい者では、モテません」
「………」
(以下架空の会話)
「あなた、いまさらモテてどうすのよ」
「いや、どうもしないさ。どうもしないけれども、モテていればそれだけで男は満足するんだ。モテないからなんとか認められようとして、こちらから口説くことになる。そして、抜き差しならなくなって浮気、ということになるのだ。妻に一途であろうとする者ほど、モテる必要があるのである。(ほとんど演説)」
帰って袋をあけてみると、覚えのないTシャツが2枚混入されていた。どうも重いと思ったんだ。
借りてきたビデオでベアールとファニ・アルダンの「恍惚 ナタリー」を観る。アルダン演じる女性の夫との情事をベアールがアルダンに語って聞かせる、と言う変な映画。主要な場面は言葉で説明されるだけで画がない。それだけではつまらないので、本筋と関係ないサービスシーンがベアールによって演じられて所々に挿入されるという感じ。無声映画だったら全く成り立たない。映画というより芝居的な作品。
夕飯は近所のレストラン「ムーラン」でフォアグラ。ワインを3分の1ほど残して持ち帰る。